THIS IS IT。

あらゆる分野の超絶優れた人々は、残念なことに存命の間は大して評価されない。
そしてもう2度と・・・となってからそのありがたみを爆発的に受け止める我々凡人のまぬけっぷりも少なくとも数百年は培われてきた伝統芸である。


さて今回は、全世界がご存知のように新型ツアーの直前にこの世を去ったまいこーの記録映像だ。

さて本編はどっかの金の亡者が権利を買い取って死人で一儲けしようとしてるだけなんじゃねーのっていう悪い予感は開幕5分で消し飛ぶデキ。
まいこーを支えるスタッフやバックダンサーのオーディション、リハの様子がツギハギではなく物語のように紡がれていく。


あれほどの超絶スーパースターはまったく偉ぶることなく、ムダに威圧することもなく、ただひたすら観客に最高のパフォーマンスを伝えたいその一心で取り組む姿勢に完全に入り込める。
驚いたことにかなりのディテールまで彼自身がこだわって仕切って、自分にも他人にも一切の妥協を排除するよう努めていることに目を奪われる。
観客が違和感を感じないように原音そのままの演奏をしろって言っといて、50代に突入した自身の歌唱力やキーの高さがまったく衰えてなくて鳥肌が立つｗ

ステップワークは本番直前に調整する予定だったのかほとんど見られなかったものの、歌やダンスはガチすぎてびびる。特に歌なんか明らかに生声なのにCDと変わらない。
画面をカットして別日の映像とシンクロさせてるシーンがあるんだけど、声の調子が変わらないのには感動した。この感想文で初めて「感動した」ってフレーズを使ったかもしれんｗ安っぽくなるから避けたいんだけど。

動きの確認をしながらのときは歌うことを途切れさせることもあるけど、通しなのか気分が乗ってきたときはガチで歌ってる・・・のかと思ったら本人は「フルコーラス(＝全力)じゃない。本番前にフルコーラスさせるなｗ」って苦笑するほどのクオリティだから・・・そら全世界50ヶ所ツアー前売り完売するわな。


ノイズ乗りまくりのメディアの報道や一連のアレも、彼のスタッフに対する姿勢、音楽に賭ける情熱、観客に向ける気持ちの表れを見てると「何をバカなことを」としか思えない。ただの金目当てだろ。
とっさに気がついたことについてスタッフに指示を出すときも、不快感や不安感を与えないように"God bless you"とか、怒ってるんじゃない、愛だからと気遣う姿勢(言われたほうは萎縮しまくるしなｗ)はすごい。
バックダンサーのオーディション見てると数千人単位じゃね？ってほどいるんだし、並の小物なら簡単に全力で傲慢な人物に振りきっちゃってもおかしくないのに、パフォーマンスはあんなに激しいのに口調は穏やかでやさしい。

彼一人をすべてのスタッフが全力で支える、力のある人々が集まる、その充実した表情を見てると疑う余地はない。オリアンティのギターテクもやばいｗ女であんなプレイできる人がいるとは。当時24ｗ
練習のうちから怒号が飛び交うこともなく、出番のないときのダンサーは観客席側からレスポンスを送る・・・というか普通に観客になって心底楽しんでるのを見てるとどんどん気持ちが乗ってくるｗ



急ごしらえでこのクオリティ。
どうしてやらせてあげなかったのか・・・いいやつはすぐしにやがる。
2周見てさらに2周くらい垂れ流しにしてたほどハマった。またね。